高血圧について

高血圧のイメージ写真

心臓から各器官へ向けて血液が送られる際に動脈の壁にかかる圧力のことを「血圧」と呼んでいます。心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送ります。血圧には、心臓が収縮して血液を送り出す際にかかる収縮期血圧(上の血圧ともいいます)、心臓が次の血液を送り出せるようにするために心臓を拡張して血液を溜め込んでいるときの拡張期血圧(下の血圧ともいいます)の2つがあります。
拡張期血圧が140㎜Hg以上もしくは、拡張期血圧が90 ㎜Hg以上の場合に、高血圧と診断されます。
血圧は緊張などにより一時的に上昇するため、最近は、自宅で血圧を測定した値(家庭血圧)を重視するようになっています。5〜7日間の平均で135/85mmHg以上の場合も高血圧と診断され、家庭血圧の方を優先して用いられます。

高血圧の主な原因

高血圧は不摂生な生活習慣が積み重なることで起こりやすいと言われています。下表のような生活を続けている方は、早めに生活習慣を見直すようにしてください。

  • 塩分の摂り過ぎ
  • 食事でのミネラル分の不足
  • 太り過ぎ(カロリーの摂取オーバー)
  • お酒の飲みすぎ
  • 精神的ストレス
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 睡眠不足
など

早めの受診が大切です

高血圧と診断されても、初期の段階では自覚症状がみられないことが多く、医療機関を受診せずに放置されている方も少なくありません。しかし、高血圧はサイレントキラーと言われ、放置すると血管の動脈硬化が進行し、脳梗塞や狭心症・心筋梗塞、心不全、腎機能低下などを発症するリスクが高くなります。早朝の頭痛、夜の頻尿や呼吸困難・めまいやふらつき・足の冷えなどの症状を認めるときは、臓器の障害が出始めている可能性があります。
わが国では年間10万人以上の方が、高血圧が原因で亡くなっています。症状がなくても早めの受診を心がけてください。

高血圧の治療

高血圧の治療は、血圧をコントロールし、将来起きる可能性のある脳・心血管病や腎機能悪化を予防することが目的となります。一般的な治療の目標は、75歳未満では診察室血圧130/80mmHg未満、75歳以上でも140/90mmHg未満を目指します。ただし、合併症の状態などによって、さらに厳格に下げた方がよい場合や、逆に慎重に下げた方がよい場合もあります。
まずは食事療法や運動療法によって生活習慣を改善することが大切です。特に減塩が重要で、1日の食事で摂取する食塩の量を6g未満にすることを目標とします。酸味や香辛料・低塩の調味料などで味付けを工夫し、少しずつ食塩摂取量を減らしていきましょう。また、栄養バランスを意識した食事メニューにすることや、アルコールを減らすことも重要となります。当院では、患者様の推定塩分摂取量を評価し、ご希望に応じて管理栄養士による栄養相談も行っております。運動療法では、中程度の負荷の有酸素運動を毎日30分程度行うことが推奨されます。食事療法や運動療法だけでは血圧が目標まで十分に下がらないときには、降圧薬による薬物療法が必要になります。血圧を下げる薬には多くの種類があり、患者様の血圧や合併症の状態などによって最適の薬を決めていきます。薬の必要性は患者様の状況により変わってきますので、自己判断で服薬をやめることなく、疑問があるときは医師にご相談下さい。

治る高血圧もある

また、内分泌疾患による高血圧があります。その中でも原発性アルドステロン症は、高血圧患者様の約3〜5%、100人のうち3〜5人くらいといわれており、治療によって高血圧が治る可能性があること、放置すると脳・心血管合併症が生じるリスクが高いことから、早期の診断が重要です。年齢や検査データなどから疑いがあると判断される場合には、ホルモン検査を行い、必要に応じて精密検査・治療が必要となります。詳しくは医師にご相談下さい。