甲状腺・バセドウ病・橋本病について

甲状腺・バセドウ病・橋本病のイメージ写真

バセドウ病と橋本病はいずれも自己免疫疾患という範疇に入る病気で、本来は細菌やウイルスなどの外敵を攻撃するはずの免疫(抗体)が、何らかの原因で誤って自分の体を攻撃してしまうために発症します。なぜそうなるのかについてはまだわかっていません。

バセドウ病では抗体が甲状腺細胞を刺激して甲状腺ホルモンを作り過ぎてしまい、甲状腺機能亢進症を引き起こします。妊娠、出産、ストレス、感染症などが誘因になり得ると言われていますが、根本的な原因はわかっていません。頻脈・体重減少・手指の震え・暑がり・多汗・イライラ・下痢などの症状があります。また個人差がありますが、首の中央部に存在する甲状腺が大きく腫れることがあり、眼球が突出したり、眼の動きが悪くなったりすることがあります(甲状腺眼症)。

逆に橋本病は抗体が甲状腺細胞を破壊してしまうことにより、甲状腺機能低下症を引き起こします。慢性甲状腺炎とも呼ばれます。誘因として、妊娠・出産・無機ヨード(海藻類・イソジンうがい薬)の過剰摂取などがありますが、こちらも根本的な原因はわかっていません。体質の要因(遺伝因子)もあることが知られており、家族歴(お母さんから娘さんへなど)がある方に多いと言われています。機能低下症に陥ると、疲れやすい・無気力・寒がり・体重増加・便秘・むくみなどの症状が出現します。うつ症状・うつ病の原因となっていることもあります。また、バセドウ病と同じく甲状腺が大きく腫大することがあります。この病気のみにみられる特徴的な症状がないため、当てはまる症状がある場合はホルモン検査を受けることが勧められます。

バセドウ病・橋本病のいずれも薬物治療によりホルモンを適切な量に是正します。バセドウ病では、薬物治療以外にアイソトープ治療、外科的治療(手術)があります。薬の副作用や再発など薬物治療でうまくいかない一部の患者様には、アイソトープ治療ならびに外科的治療が適応となります。

そのほかの甲状腺疾患として、甲状腺内に結節(腫瘍)が生じることがあります。甲状腺結節の多くの場合は良性ですが、悪性(がん)の場合もあります。検査は画像検査が中心で、超音波検査・CT・MRIなどがあります。最も簡便で有効な検査は超音波検査で、甲状腺内の腫瘍の性状を観察します。画像のみでは良悪性の判断が困難な場合は、穿刺吸引細胞診という検査を行うことがあります。精密検査や手術が必要な場合は、専門施設へご紹介させて頂きます。